電波時計など一部の腕時計を除いては、時計が遅れたり進んだりするのは、ある程度は仕方のないことです。
ただ、明らかに精度が乱れている時は必ず何かしらの理由があるので、予め考えられる理由と然るべき対応方法については、知っておいたほうが良いでしょう。
この記事では、時計の精度や日差に関するよくある疑問と、それらに対する回答をまとめています。
目次
時計の精度の許容範囲は?
クォーツと機械式時計では、精度に歴然たる差があることは周知の通りです。
機械式時計にはクロノメーターとノンクロノメーターがあったり、現行品とアンティークウォッチではやはり精度が大きく違ったりするのも当然のことです。
厳密に言えば、精度の許容範囲もそれぞれの時計によって違います。
ただ、それでは全く参考にならないので、以下を1つの目安とするのが良いでしょう。
- クォーツ:日差±0.5秒
- 機械式時計(クロノメーター):日差-4秒~+6秒
- 機械式時計(ノンクロノメーター):日差-10秒~+20秒
- アンティークウォッチ:日差2分
日差は何秒以上でメンテナンスが必要?
これもあくまで目安ですが、以下の日差が生じている場合は、精度不良と判断するのが妥当です。
- クォーツ:日差±1秒以上
- 機械式時計(クロノメーター):日差±15秒以上
- 機械式時計(ノンクロノメーター):日差±40秒以上
- アンティークウォッチ:日差4分以上
日差を自分で確かめる方法とは?
日差を修理店などに依頼せずに、自分で確かめる方法としては次の2つがあります。
- 1週間から10日間かけて平均日差を割り出す
- 時計歩度測定器を使う
1週間から10日間かけて平均日差を割り出す
そもそも日差とは、ゼンマイを巻ききった状態で時計を動かし、24時間後の時計の針と標準時刻にどれだけの誤差があるかを示したものです。
時計の精度は、使用環境や気候などによって都度変化します。
そのため、日差は1日だけチェックしても、正しい結果は得られません。
最低でも1週間から10日間ほどの平均値(平均日差)を割り出すことが大切です。
例えば、1日目は5秒、2日目は10秒、3日目は15秒、4日目は20秒、5日目は10秒、6日目は5秒、7日目は5秒、針が進んだとします。
この場合・・・ (5+10+15+20+10+5+5)÷7=10 「10秒」が平均日差になります。
時計歩度測定器を使う
時計歩度測定器を使えば上の方法よりももっと手軽に、しかも正確に日差を確かめられます。
時計歩度測定器は、Amazonや楽天でも簡単に手に入ります。
「マルチファンクション タイムグラファー」で検索すると、価格は2万円台~と比較的手頃で、良さそうな物がいくつかヒットします。
時計歩度測定器は、テンプの音をマイクで拾って歩度(遅れや進み具合)を測る機械です。
これを使えば、約1分という短時間のうちに日差を確かめられるので、便利なことこの上なし。
時計が遅れる・進む理由は?
時計が遅れたり進んだりしてしまうのは、やはり磁気帯びが原因の場合が多く見られます。
これはクォーツでも機械式時計でも同じことなので、磁気は腕時計の大敵と認識しておくことがとても大切です。
ありがちなのが、スマホ、パソコン、スピーカーなどの上にうっかり時計を置いてしまうこと。
意外なところで言えば、磁石が付いたバッグで荷物を出し入れする際にも磁気帯びのリスクが伴うので、特に女性は時計と磁石をあまり近付けないように注意が必要です。
磁気帯び以外では、油切れが原因で時計が遅れたり進んだりすることがあります。
クォーツの場合は回路不良も原因の1つで、その場合メーカーでの修理となると費用は高額になりがちです。
機械式時計では、ヒゲゼンマイの絡みが原因の場合もあります。
となると、オーバーホールは必須と思うかもしれませんが、案外部分修理のみで解決することも少なくありません。
時計が遅れる・進む場合のメンテナンス料金は?
- 磁気帯び:1,000円~
- 油切れ:20,000円~
- ヒゲゼンマイの絡み:6,000円~
当然ながら、時計が遅れたり進んだりしてしまう原因が何なのか、によってメンテナンス料金は違ってきます。
磁気帯びが原因で磁気抜きで済む場合は、大した費用はかかりません。
店舗によっては、磁気抜きをサービス(無料)でやっているところもあるくらいです。
油切れの場合はオーバーホールが必要となり、ヒゲゼンマイの絡みの場合も同時にオーバーホールが必要かもしれません。