一般的に時計のオーバーホールは、メーカーよりも街の時計修理店(以下「修理店」という)に依頼したほうが料金は安くなります。
では、料金以外に何か修理店に依頼するメリットはあるのでしょうか。
逆に修理店に依頼するデメリットがあるとすれば、それは一体どんなことでしょうか。
この記事では、修理店にオーバーホールを依頼するメリットとデメリットについて詳しく解説しています。
目次
修理店にオーバーホールを依頼する4つのメリット
- 料金が安い
- 納期が早い
- 必要な部分だけを修理してもらえる
- 古い時計でも対応してもらえることが多い
以下に、それぞれについて詳しく解説します。
料金が安い
時計の状態が悪く、多数の部品交換が必要な場合は、修理店よりもメーカーに依頼したほうが料金が安くなることがあります。
ただ、そのようなケースは比較的珍しく、大抵は修理店のほうが安くなります。
オーバーホールの基本料金は、ブライトリング、タグホイヤー、オリスなど、いわゆる「並行差別」があるブランドの場合、特に修理店のほうが安くなります。
上記に該当するブランドの並行輸入品は、修理店にオーバーホールを依頼することで、料金がメーカーの半分以下で済むことも珍しくありません。
納期が早い
メーカーでは、オーバーホールの納期が1ヶ月~2ヶ月というのが標準的です。
対して、修理店では大体1ヶ月くらい。
中には、最短2週間~3週間で対応できるところもあります。
作業やメールでの連絡が迅速な上に、対応が丁寧なことも多いです。
必要な部分だけを修理してもらえる
メーカーは部品の在庫が豊富なので、部品の交換も積極的に行う傾向があります。
また、メーカーは修理費用を抑えることよりも、時計としての性能や美観を完全に回復させることを優先します。
そのため、不具合がある部品はユーザーの想いとは無関係に全て交換されてしまうなど、融通が効かないケースが多々見られます。
対して、修理店は過剰な修理は避け、極力使える部品は残そうとするのが特徴といえます。
相談の上で、気になる部分だけを修理してもらうことも可能です。
古い時計でも対応してもらえることが多い
メーカーでは、例えば「生産終了から25年間」など部品の保有期間がある程度決まっています。
そのため、アンティークウォッチなどは「部品在庫無し」を理由にメンテナンスを断られてしまうことがあります。
また、メーカーは品質に対する基準が厳しいため、「メンテナンスしても時計本来の性能を回復できない」と判断されたら、あっさりと断られてしまう場合もあります。
対して、修理店では古いパーツをストックしていたり、パーツが無ければわざわざ制作したり、といったこともお店によっては可能です。
依頼できるところが見つからない時は、「他店で断られた時計もOK」と謳っている修理店にダメ元でも相談してみると良いでしょう。
修理店にオーバーホールを依頼するデメリットとは?
- 一部対応できないモデルがある
- 保証期間が短い
- 社外品のパーツを使用することがある
以下に、それぞれについて解説します。
一部対応できないモデルがある
オメガのコーアクシャルをはじめ、メーカーが市場への供給を制限している部品もいくらかあります。
そのため、修理店では修理内容によっては対応できないこともありますし、一部の時計においては一切のメンテナンスを受け付けていないこともあります。
また、セイコー、シチズンなどの国産時計には、一切対応していない修理店も少なくありません。
保証期間が短い
修理店でもメーカーでも大抵オーバーホール後は、修理保証が設けられています。
メーカーの保証期間は1年間は当たり前で、ロレックスやスウォッチグループの各ブランドなどは2年間に設定されています。
対して、修理店の保証期間は6ヶ月~1年間というのが一般的です。
そう認識しておいたほうが良いでしょう。
社外品のパーツを使用することがある
修理店でも、オーバーホールにはメーカー純正部品を使用するのが一般的です。
時計の部品はとても繊細なので、修理に純正とは違う部品を使うほうが手間がかかるし、難しくもなります。
そのため、ちゃんとした修理店であれば、わざわざ純正とは違う部品を使う理由がありません。
ただ、どうしても純正部品が手に入らない場合、その旨をユーザーに説明し、了承を得た上で修理を行うのが一般的です。
メーカーで修理が可能な場合は、メーカーへの取次をしてくれることもあります。
まとめ
時計のオーバーホールを修理店に依頼するのは、メリットとデメリットの両方があります。
ただ、メーカーに依頼するのも、決してメリットばかりではありません。
どちらを選んでも正解、不正解はなく、極論すればその人の価値感次第ということになります。