エアキングは、現存するロレックスの最古のペットネームとしてファンの間では広く知られているシリーズです。
※ペットネーム=愛称のようなもの
そんな歴史あるエアキングの1モデルとして、1990年頃から2000年まで製造されたのがRef.14000です。
この記事ではRef.14000の歴史と、現在の人気や価値についてお伝えします。
エアキングの歴史
Ref.14000が誕生するよりもずっと前、初代エアキング(Ref.4365)が誕生したのは1940年代。
それから時を経て、Ref.14000の先代にあたるモデル(Ref.5500)が誕生したのは1950年代後半のことです。
Ref.5500は、その普遍的且つ完成されたデザインによって、1988年頃まで製造されたロングセラーモデルです。
その後を継いで5桁リファレンスとして誕生したRef.14000は、デザイン的にはRef.5500とほとんど違いがありません。
ただ、ムーブメントはCal.1520(毎時19,800振動)からCal.3000(毎時28,800振動)へと変更されています。
また、風防は強化プラスチックからサファイアクリスタルに。
針はペンシル型からバー型になっており、以上3点がRef.5500からの主な変更点といえます。
そんなRef.14000も2000年に生産が終了。
その翌年に後継機のRef.14000M(製造期間:2001年~2007年)が誕生します。
Ref.14000とRef.14000Mの主な変更点も、以下の通り3つあります。
- ムーブメントが、Cal.3000からCal.3130に(これにより安定性、メンテナンス性、巻き上げ効率がアップした)
- ラグの横穴が無くなった
- 風防の6時位置に王冠の透かしが入った
その後、エアキングは6桁リファレンスのRef.114200(製造期間:2007年~2014年)へとモデルチェンジを果たします。
Ref.114200の文字盤には、これまでのモデルにあった「正確」を意味する「PRECISION」の表記がありません。
変わりにクロノメーター認証を意味する「SUPERLATIVE CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED」が表記されています。
また、ベゼルも丸みのある形状に変更されたことで、見た目の印象も変わっています。
他にも、ブレスレットがより堅牢性と高級感を兼ね備えたものに刷新されるなど、さらに実用性を増したモデルへと進化を遂げています。
しかし、2014年のマイナーチェンジによって、文字盤に「Air-king」が表記されたモデルは、全て生産を終えることに。
完全に終了したと思われていたエアキングですが、突如2016年にデザイン、サイズ、機能が全く違う画期的なモデル(Ref.116900)として復活したのは記憶に新しいところです。
そんなRef.116900も2022年には廃盤が噂されており、これまで以上にエアキングからは目が離せない、新たな局面を迎えようとしています。
エアキング(14000)の特徴
- 搭載ムーブメント(Cal.3000)は高精度で信頼性も高い
- 風防は耐傷性に優れたサファイアクリスタル
Ref.14000は旧型のモデルでありながら、上の2つを理由にとても実用性が高いモデルといえます。
特にCal.3000は当時は最先端のムーブメントで、サブマリーナ(Ref.14060)にも採用されています。
Ref.14000もRef.14060もノンクロノメーターですが、クロノメーター取得のエクスプローラー(Ref.14270)にも同じCal.3000が搭載されています。
そのため、精度の高さは折り紙付きで、信頼性も文句なし。
パワーリザーブは約48時間で、これについても十分過ぎるほどです。
エアキング(14000)のサイズ感や質感
エアキング(14000)のケースサイズは幅34mm、厚さは約10mmです。
重量は約89g(余りコマ分は含まない)で、かなり軽いです。
この軽さのおかげで、長時間付けていても疲れないどころか、付けていることすら忘れてしまうほどです。
手首周り17cmの私の腕には、かなり小さく見えます。
ただ、見え方の良し悪しは好みの問題ですし、慣れによっても多少は見え方が違ってきそうです。
ただ、眺める度にだんだんと良く見えてくるから不思議ですね(笑)
これまで36mmが自分の中でのミニマムサイズと勝手に決め付けていました。
それが今では「34mmも1本くらいはあってもいいかな」と思うほどです。
ブレスの質感や装着感は、5桁ならではといったところでしょうか。
中駒が空洞なのは軽さというメリットに繋がっている一方で、堅牢性と高級感ではやはり6桁には遠く及ばないと思います。
装着感についても、6桁はよく「腕に吸い付くような心地よさがある」といわれていますが、このRef.14000からはそういった感覚は味わえません。
とはいえ、決して装着感が悪いわけではなく、むしろ6桁さえ知らなければ、十分に満足できるものだと思います。
腕から外した時のカチャカチャっとする感じは、ややチープな印象があります。
ただ、この感じが5桁の良さだという人がいるのも、何となくわかる気がします。
エアキング(14000)の現在の価値
かつてエアキングは、ロレックスの入門機と呼ばれていました。
また、Ref.14000は、今から20年ほど前は新品でも20万円台前半で購入できました。
しかし、2016年頃からロレックス全体が品薄傾向になり、それに伴ってRef.14000の価値も大幅に上昇しています。
2021年12月現在、Ref.14000は中古市場でおよそ40万円~70万円で取引されています。
相場に30万円ほどの幅があるのは、生産が終了してから20年以上も経っているため、状態にバラつきがあるのが原因であると考えられます。
Ref.14000の文字盤のインデックスは、バー、アラビア、ローマンなど複数のバリエーションがあります。
その中で、ローマンだけがやや相場が安く、あとの2つはあまり変わらない印象です。
カラーはブラック、ブルー、ピンク、シルバーなどがありますが、カラーの違いはあまり相場と関係がないようです。
エアキング(14000)のスペック
Ref. | 14000 |
---|---|
ケース素材 | ステンレススチール |
ブレス素材 | ステンレススチール |
風防素材 | サファイアクリスタル |
ベゼル | スムースベゼル |
ダイアルカラー | ブルー |
ケースサイズ | 34mm(幅)/約10mm(厚さ) |
重量 | 約100g |
防水性能 | 100m |
ムーブメント | 自動巻き、Cal.3000 |
振動数 | 毎時28,800振動 |
パワーリザーブ | 約48時間 |
製造期間 | 1990年頃~2000年 |
最後に
昨今ロレックスのケースサイズも大型化している中で、メンズモデルとしては小ぶりな36mmや34mmを求める人も少なくありません。
また、かなり高騰しているとはいえ、40万円台から狙えるRef.14000は、ロレックスの中ではまだ比較的買いやすく安定した人気があります。
現行品にも引けを取らない実用性の高さと、5桁ならではの質感も魅力。
普遍的且つ完成されたデザインは、いつの時代にもマッチし、きっと使い込むほどに愛着も増していくでしょう。
機能がシンプルで維持費が安い点も、ずっと手元に置いておくにはとても好都合です。